特集記事【株式会社パートナーズダイニング 中村 英樹】心震える体験を、夢ある人に送りたい。パートナーズダイニング社長が考えるサポートのあり方。

株式会社パートナーズダイニング 代表取締役社長 中村 英樹

プロフィール

株式会社パートナーズダイニング 代表取締役 社長 中村 英樹

1984年生まれ 東京都出身

2009年に株式会社subLimeに入社し、複数回にわたるM&Aや独立支援事業の展開に携わる。パートナーズダイニングでは、テーマレストラン「監獄レストラン ザ・ロックアップ」、居酒屋「北の家族」などの飲食事業を展開する。

■企業HP

http://www.partners-dining.co.jp

努力ができるプロになる。中村社長が持ち続けた主体性

サークル立ち上げの勉強のつもりが、就職先に

ー学生時代から飲食や起業に興味はお持ちだったんでしょうか。

いえ、当時は特別飲食に思い入れがあったり、会社を立ち上げるぞという考えはありませんでした。

大学時代に友達と学園祭サークルを立ち上げたもので、普通だったら先輩のやってることを真似すればいいのですが、自分達で立ち上げたので何も分からなかったんです。

そこでsubLimeの花光(注:花光雅丸。株式会社subLime創業者)に声をかけました。花光は僕が当時アルバイトをしていた土間土間に途中から店長として赴任され知り合いました。

花光はその時、独立して屋台をやっていたので、「勉強したいからアルバイトさせて下さい。」とsubLimeに入ったのが一番最初のきっかけです。

 

ーバイト時代に中村社長はすでに仕事のできる人だったと伺っています。

一生懸命に頑張らなきゃという思いはありましたね。

僕は小学生くらいの時から「勉強でもスポーツでもやればなんでもできる」というスタイルでした。そう思っていたので中学、高校とどんどん努力しなくなっていきました。

それで大学受験の時に失敗して浪人しているんです。その時に初めて「やっても出来ない」と思いました。このままじゃ負け犬人生になってしまうと思い、能力がないなら努力が出来るプロになろうと決心しました。

そこで決めていたことが、まずはバイトを一生懸命頑張って、サークルも一生懸命頑張るということでした。

だから現場仕事はもちろんですが、自分で法人営業したり、売上を上げる施策を自分で考えて行ったり、キャッチに出たりと色々やってました。普通のバイトじゃそんな事しないじゃないですか。だからそういう意味でできるという評価をしてもらってたんじゃないかなと思います。

 

飲食業は運命共同体

とはいえ、どれだけ活発に動いていても、subLimeの仕事はあくまでバイトでしたし、僕もバイトと思って働いていたこともあったので、将来の進路とは別に分けて捉えていました。

花光からそのまま働かないかと言われたりもしたんですが、そもそもはじめはサークルのノウハウを身につけるための修行ということでしたし、当時は就活もしていて、就職は飲食以外の分野にしたいと考えていたので、その時はお断りしました。

そんな僕が就職先に選んだのは、中小企業支援を担うコンサル会社でした。お話ししたように、僕は何か特別な能力があるわけではないので、とにかく努力で自分自身の能力を得たい気持ちがあったんです。

学生時代を通じて携わってきた飲食業は決して嫌いではなく、むしろ好きな業界ではありました。しかしこんなに素敵な人たちが、頑張っている分だけ報われないのはおかしいなというのを垣間見たこともあり、自分が就職する上での選択肢から消してしまったんです。

学びの機会が多そうだなということで就職したコンサル企業でしたが、そこで僕が配属されたのは外食事業部だったんです。食から離れようと思って選んだ企業であるにも関わらず、食に寄せられてしまったのは運命かな、と思ったのもこの時でした。

この辺りから、飲食業界は報われない業界だから避けるのではなく、自分が飲食業界に踏み込んでいくことで、業界に変化をもたらしていこうと前向きに考えるようになっていきました。

そしてちょうど僕が入社する年でもあった2009年、リーマンショックで世界的な不況の波が日本にも押し寄せ、就職先も大きな影響を受けることになります。なんと僕が配属される予定だった外食事業部が閉鎖・吸収合併されることとなり、就職先の会社の別の部署を探すか、吸収先へ一緒に吸い込まれていくか、自分で新しく職を探すかという選択を迫られました。

会社に残っても希望する職種ではなく、吸収先も救済で引き取るという感じだったこともあり、僕は自分で仕事を探すことにしました。そこで最終的な就職先となったのが、学生時代にお世話になっていたsubLimeというわけです。

 

飲食で働く人達が輝ける場所を作ると決心

株式会社パートナーズダイニング 代表取締役社長 中村 英樹2

subLimeの花光とはバイトを辞めた後もずっと連絡を取り続けていて、ちょうど僕が新しい就職先を探していた時、会社の飲み会に来ないかと誘われたんです。

その時はsubLimeに戻る決心はまだ付いていなかったんですが、飲み会に行ってみるとsubLimeの社員の人やバイトの人たちが50名ほど集まっていて、その人たち囲まれ「いつ戻ってくるんですか!」みたいに迫られたので、断るに断れなくなってしまったんです()

subLimeもその頃は6店舗まで店を拡大していた頃で、どうせやるならここで働く人たちが輝ける場所を作りたいと思い、徹底的に会社のために働いてやろうと、強く意思を固めて臨むことにしました。

 

ーsubLimeに入社し、まずは何を行いましたか?

はじめは従業員満足度を上げる仕組みを作るということで入社しました。とはいえ給料分は稼がないとと思っていたので現場の仕事もこなし、本部の仕事もこなしで、本当に休みなく働いていましたね。基本は現場に入って店の運営をしつつ、残った時間で会社の仕事をするという毎日だったもので、入社して半年ぐらいは1日も休むことなく働いていました。

僕は入社の際、物件も持ち込みで入ってそのまま店舗の立ち上げも担当しました。これは本当にたまたまだったんですが、良さそうな物件があったので、社内でプレゼンをして、それを立ち上げる事になりました。実際オープンしてみると集客も上々、しっかりと利益も出ていたので、自信はありませんでしたが結果的には成功でしたね。

さらに入社に際して条件を会社に提示していました。というのも、点々と仕事を移り変わるのも嫌だったので、決算である5月までに結果を残せたら役員にしてくれという話をしたんです。

その際、ただ条件を提示するだけでなく、ポケットマネーも全部会社に渡しました。学生時代に貯めたお金がそれなりにあったのですが、それを全て会社に出資してのスタートでした。

結果的にその年の2月1日に入社して6月1日には役員に就任したわけですが、現場での仕事だけでなく、会社組織の仕事においても結果を出すことができていました。具体的には会議体系の整備や、社員の給与制度の構築といったところで、自分なりの貢献をするようにしました。

 

ゴールの見えないマラソンを走り続ける苦しさ

ー会社に入社しているとはいえ、実際にやられていることは起業と大差ないように思います。

そうですね。ただ、これは僕が当初望んでいた形ではなかったのも事実です()。僕が起業ではなく会社員から始めようと思ったのは、先ほど話したように誰かからスキルやノウハウを学び、能力を身につけるためだったので、僕に何かを教えてくれる先人の存在を必要としていました。

ところがsubLimeに入ったことで花光は聞かないと教えてくれないというか、超丸投げ体質なところがあるもので、わからないことがあると全部自分から聞きにいったり、聞けないことは自分で勉強して実行に移す必要があったので、苦労したことも多かったですね。

加えて当時はお金もなかったので、入社して立ち上げた店舗も最低限の作業しか業者を雇うことが出来ず、工事の経費も節約してました。なので、簡単な塗装なんかは自分でやったりすることもありました。

そんな感じでずっと動いていたので、一日の終わりには疲れ果ててそのまま店舗で寝てしまうこともよくありました。あとは明確なゴールが僕には見えていなかったので、延々とマラソンを走らされているような、どこまで頑張れば良いかわからない不安とか恐れみたいなものも抱えていたように思います。

 

夢を追いかける人たちの支え方

株式会社パートナーズダイニング 代表取締役社長 中村 英樹3

究極のサービスは、マニュアルでは作れない

ー役員になってからの業務はいかがでしたか。

バックオフィス全般と店舗の立ち上げ、運営に力を入れるようになっていきました。ただ、やっていないことはないというほど全部の業務に関わっていたので、明確な部門意識はほぼなかったですね。

2011年ごろまではずっと出店を繰り返してきたこともあって、店舗の拡大が急速に進んでいく時期でもありました。そうなると、今度課題となってくるのが従業員の育成や、各店舗の運営クオリティの向上です。

10期で100億円達成という目標に向けて、毎年事業計画も見直しながら進めていたんです。それでもハイペースでの規模拡大ということに違いはなく、徐々にその弊害が生まれつつあることも理解していました。

そこで2010年から独立支援事業を立ち上げ、独立を考える従業員には積極的に店の運営に携わってもらい、それ以外のスタッフの教育にもリソースを割けるよう仕組みを構築していったんです。

ー従業員教育にはマニュアルも活用するのでしょうか。

マニュアルはあるにはありますが、そこに書かれているのは必要最低限のマナーや接客についてだけですね。飲食店が提供すべきサービスというのは、端的に言えばお客さんが食べたい時に食べたいものが出てきて、喉が渇いた時に飲み物が出てくるというものです。

要はお客さんにストレスを与えないということなんですが、これができるのは個人店舗の強みだと思っていて、チェーン店にはできない仕組みだなと思っています。個人店舗のような仕組みを作っていくのが、今後の課題ですね。

そのためにも、各店舗にはそれなりの裁量を与え、スタッフには目の前のお客さんに集中してもらう必要があります。バックオフィスは自動化して、余計なことを考えなくていいようにするのが会社としての役割です。

お客さん一人一人に適切なサービスを提供するのって、マニュアルではどうしてもカバーできない範囲の話になってきてしまうんです。なのでスタッフ間でも「最近どう?」と声をかけ合える関係構築を促したり、採用のところではそれができる人材を獲得していくということに集中しています。

パートナーズダイニングのスタッフには強みがあって、板前経験が長かったり、料理のスキルが非常に高いベテランが集まっている傾向にあるんです。料理もサービスも一人前の人たちが輝ける店を作っていくのが、パートナーズダイニングという会社の役割であり、僕の役割でもあると考えています。

 

個人的な夢はないが、夢のある人を応援したい

ー中村社長個人のビジョンや夢はあるのでしょうか。

実は僕自身の夢や展望というものないんですよ。むしろ夢のある人を応援することに集中したいという気持ちの方が強いですね。

花光は「島を買いたい!」と18歳の頃から言っていますが、個人的にはやりたければどうぞという感じで、そこまで島を買うことに個人的な興味はありません()。ただ、そんな無茶な夢を叶えようとするプロセスとか、実際に夢が実現したところに人間は感動してしまうもので、本気で取り組むからこそ心が震わせられてしまうものです。

飲食業界にはそれぞれ夢を持っている人たちが大勢います。企業を経営している身である以上、成長を続けていくことはもちろんですが、これからも夢を追いかける人たちを支えて、心を震わせるような体験の機会を提供していきたいですね。

 

ー本日はありがとうございました。

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