特集記事【株式会社QUESTa 土井 功】ワクワクする面白いお店を作りたい スタッフに役割を与えて独立支援をする

株式会社QUESTa 土井 功

プロフィール

株式会社QUESTa 代表取締役 土井 功(どい いさお)

佐賀県出身

18歳でファッションの専門学校に進学するために上京。
25歳に独立し、船橋に「よってこ」をオープン。その後1年に1店舗のペースで事業を拡大させ、現在までに8店舗の出店を行っている。
そのうちの4店舗を業務委託(のれん分け)というかたちで従業員に譲渡し、現在は「FES by asobi」「Garage kitchenあそび」「路地ノ裏 灯篭」「焼ジビエ罠一目」の4店舗を経営。

■企業HP
https://www.questa-jp.com/

小学2年生から自分でお金を稼ぐ

過酷なスタイリスト見習い時代

-子ども時代の話を聞かせてください。
私の実家は、新聞屋をしています。そのため、小学校2年生の時から新聞配達をしてお金を自分で稼いでいました。高校卒業まで朝の4時半に起床し新聞配達のアルバイトをしていたのですが、バスケットボール部にも入部していたので結構しんどかったですね。

ですが、毎朝新聞配達をしていたこともあり普通にお小遣いをもらっている友達よりはお金を持っていました。そのお金で洋服を買っているうちにファッションに興味を持ち、「将来は映画などの洋服をスタイリングするぞ!」「オダギリジョーなどのスタイリングをしたい!」という大きな夢をもって、18歳の時に上京します。上京してからはファッションの専門学校に通いながら、飲食店でアルバイトをしました。

専門学校には結構お金持ちの家庭出身の人が多くて仕送りをもらって学校に通っていますという感じだったのですが、私はアルバイトをしながら学校に通っていたので「こいつらよりは絶対上に行ってやる」という思いはありましたね。

専門学校を卒業し、スタイリストのアシスタントを1年間することになるのですが、担当のスタイリストはとても厳しかったですし、「仕事を学ばせているだけだ」ということで給料をもらったことはありません。もちろんそれでは生活ができませんでしたから、空いた時間にバイトをするというギリギリの生活をしていました。

当時はそれでも何とかなると思っていたのですが、ある時スタイリストの車をこすってしまいます。1年間も無給で働いていたわけですから、「許してもらえるかな」と思っていたのですが、実際はしっかりと修理代を請求されたことで、私の中で糸が切れて修理代を渡しアシスタントを辞めました。夜中まで働きアルバイトをするという生活のため、精神的にギリギリだったのだと思います。

バックパッカーや海外旅行に憧れがあったので、その後1年間はアメリカやヨーロッパ、 タイなどを旅行しながら自由に生活したのですが、21~22歳くらいになって将来に焦りを感じました。

とはいえ、今更就職するのは難しいだろうから何かしら独立をしようと心に決めました。そこで学生時代にアルバイトをしたお店で仲良くなった、佐藤という友人を「一緒にお店を開こうぜ」と誘うという、結構あるあるな感じのスタートですよ。

もちろんすぐにお店を出すことはできませんから、佐藤には料理の勉強をしてきてもらい、私は「この店イケてるな」というお店で1年間アルバイトをして独立の下準備を始めました。

課題だらけのオープン初日を迎える

株式会社QUESTa 土井 功 8

若さと勢いで独立

-独立はスムーズにできたのですか?
23歳くらいから都内の物件を探したのですが、家賃が高いとかここは人通りが少ないとか何かと理由をつけてなかなか独立できませんでした。そんな中アルバイト仲間がどんどん独立し、店を出店していきます。その仲間に「いつやるの?まだやらないの?」と煽られ勢いで「25歳の4月までには自分の店を持つ」と宣言しました。

とはいえ当時手元に300万円ほどしか資金がありませんでしたから、それでお店を出すのはなかなか難しいですよね。ですが、ちょうど船橋に100万円で居抜きができ、保証金など込みで300万円以内で契約できるお店が1店舗だけありました。この時25歳の1月で、仲間に宣言したリミットまで迫っていましたから「ここならできる、ここでしかできない」という感じで、半ば無理やりお店を出したような感じです。

市場調査も満足にせず決めましたから、今から考えると本当に若気の至りですね。25歳と若かったこともあり、「もし潰れたとしてもなんとかなるでしょう」という感覚でした。

-QUESTaという社名の由来を教えてください。
QUESTには、冒険探検という意味があります。それにaをつけることで、プラスαチャレンジし続けるという意味を持たせました。

実際に立ち上げ当初からかなりぶっ飛んで挑戦していますからね。

-お店をオープンしていかがでしたか?
初日はめちゃくちゃでしたよ。例えばエビマヨを注文されるとします。すると注文されてからエビの解凍を始めたり、手書きのメニューに金額を書き忘れてお客様に「これいくら?」と聞かれてからその場で値段をつけたりもしましたね。
その他にも、居抜きだったのでレジもそのままあったのですが、とても簡単そうだったのでちょっと触れば簡単にあつかえるだろうと思ったのが大間違い!実際はすごく難しく会計で手間取り「あのお客様から代金頂いてないのでは?」ともなりました。

オープン当日は、仲間も飲みに来て「おめでとう!」と祝ってくれたのですが、こちらは失敗続きでテンションが下がっているわけですよ(笑)準備をちゃんとしてきたつもりでしたが、実際は全然できていなかったのでしょうね。ですが8店舗経験した今でも、初日は「あれがない、これがない」とバタつきますし、オープンにはこれがつきものなのでしょう。それも飲食業の面白いところなのではないでしょうか。

とはいえこの時は度が過ぎていたので、2日目は営業を休み反省会をします。そこできちんと食材の調達をして仕込みもしっかりやったことで、3日目からはスムーズに営業ができるようになりました。

オープニングスタッフは高校生や大学生のバイトが3人と、私の後輩の工藤、共同設立した佐藤と私の6~5人のメンバーですが、ちっちゃい家族みたいな感じで頑張っていたので今でもそのメンバーとは仲良くしています。

自分たちで店を作る楽しみを知る

運命的な出会いで2店舗目をオープン

-その後コンスタントに店舗を拡大されていますね。
実は1店舗目は仲間に「何でこんなところに出店したの」と言われるほどあまり良い場所ではなかったのですが、実際は徐々に売り上げを伸ばすことができました。そこで2店舗目を考えだしたタイミングで運命的な出会いがあります。船橋に初めて市場調査をした時に、「ちょっと飲みに行こう」と入ったお店があるのですが、実はそのお店を居抜きで契約することになるのです。

ちょうどその時3.11の地震で自粛ムードだったのでこんな時に店を出すのも、という感じではあったのですが、逆に今がチャンスかもと思い出店を決めました。とはいえ1店舗目よりも大きなハコでしたし、売上こそついてきていたものの経営に関してまだまだ素人でしたから内心はとても不安でした。そんな私を尻目に相方の佐藤は「いける!いける!」と強気で、いつも私の背中を押してくれるよき相棒です。

結果、2店舗目も業績が良くそのおかげである程度まとまった資金ができて3店舗目も出店できることになります。

今までの2店舗はどちらも居抜き物件だったのであるものを使って営業していた形です。そこで3店舗目は「自分たちの好きなお店を作りたい」「スケルトンのかっこいいお店を出したい」とずっと話してきた念願を実現させるべく、内装など自分たちでイメージしてデザイナーさんと打ち合わせを重ねてお店を作りました。いろいろと要望を伝える中で、お店を1から作っていると実感することができとても楽しかったです。

その後は1年に1店舗ずつ拡大をしていくこととなります。

-なかなかのハイスピードで店舗を拡大していますよね。苦労されたのではないですか?
若いからこそ勢いもあったし若い人間がついてきてくれたのでしょう。経営の勉強もしましたが、世の中の経営者とはちょっと色が違うのではないかなとは思いますね。例えば「これが何%で、マーケティングがどうの」というところまで落とし込んで考えるのではなく、直感でやっているような感じでした。

もちろんお金周りなど当たり前なことはしっかり勉強しましたし、税理士さんもいましたが、経理に関してはほぼ自分で管理していましたよ。

-ジビエ肉専門の焼肉店は珍しいですね。
そうですね。ジビエ肉専門の焼肉は5年ぐらい前からずっとやりたかった業態で、5年越しにようやくいい物件が空いたのでできたという形です。
これに対しては完全に自分たちのオリジナルというわけではなく株式会社夢屋さんとのライセンス契約でやらせて頂いています。この業態をやりたいという思いが強かったので、念願が叶ったという感じです。

焼ジビエ罠一目では、鹿や猪の肉を提供しています。このお店は「他のお店に一目置かれるためのチャレンジをしよう」ということがスタートになっています。だからお店の名前に一目とつけたのですよ。すごく大きなチャレンジしにくいハコではありましたが、お客様が一緒に楽しめるお店に繋がればと思っています。

トイレノートで顧客の意見を汲み上げる

地域密着型のお店作りを目指して

-顧客満足度を上げるための取り組みはありますか?
結構シンプルなのですが、「トイレノート」というものを作っています。これは、トイレに置いたノートにお客様から意見を書いてもらうという取り組みです。
例えば「これは味が濃かったです」とか悪かったことや良かったことを書いてもらい、それを全スタッフに共有すれば、徐々にいいお店になっていくでしょう。

最近ではそれをレベルアップして、ミステリーショッパーを利用しています。入店から退店までの流れなどをしっかり見てくれるので、例えばよくない声があればその点を重点的に潰していくことができます。お客様の意見を第一に考えてその意見を反映させるという当たり前のことが、顧客満足度に繋がる一番の近道ではないでしょうか。

また、これからはより地域密着型でお店を展開していきたいです。例えばすでに、貸切でライブ会場にしたり結婚式の2次会として使ってもらったりしています。

最近では、この辺りでママ起業家のコミュニティがあるのですが、その代表の方からお話をいただいてランチのコラボメニューを作りました。それで来てくれるお客様が楽しんでくれたらいいなと思います。

役割が人を作る

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スタッフに任せて成長させる

-従業員満足のための取り組みを教えてください。
基本は役割が人を作ると思っているので、やる気がある人間や意志がある人間に任せるようにしています。

直近で言えば、昨年の5月に灯篭というお店がオープンしたのですが、通常であれば私たちがある程度ハコを作り、その後そのお店を任せるスタッフに「コンセプトに合うメニューを考えて」というレベル感で任せていました。ですが、とても頑張っているスタッフが1人いたので、わたし自身もチャレンジではありましたがコンセプト設計や客層など基本的に全て任せてみることにしたのです。

そのスタッフは元々ミュージシャンなので、自分の店のコンセプトを歌にしてその歌詞をお店にも飾っています。やはりそういうのも任せるからこそ生まれてくるものですよね。今までも任せられることは任せてくるというスタンスでやってきて成功しているので、今思うと間違いじゃなかったと思います。ただこれから企業として大きくなっていくと、システム化していかなければいけないところなのでこれに関しては今後の課題でもあります。

-共同経営のコツはありますか?
確かに共同経営は、元々は仲が良かったのに喧嘩別れしてうまくいかなかったという話をよく聞きます。もちろん私たちもぶつかることはありますが、立ち上げ当時よりも今の方が仲は良好です。

秘訣はすぐ謝ることでしょうか。喧嘩をしても3日ぐらいで「ごめん」となりますよ(笑)とはいえ1店舗目はかなりハードな勤務で、険悪なムードにもなりました。1店舗目はオープン3日目から100連勤していますから。しかも佐藤は仕込みの関係で私より早くお店に行っていたので、徐々に温度差ができたりしました。「このままでは駄目だ」とうことで、100日頑張ったタイミングでみんなで1泊2日の旅行に行ってリフレッシュするなどの策を講じています。

また基本的に趣味が同じというか、「面白い面白くない」という価値観が合っています。

そういう過去を笑い話にして、仲良くやれているのでしょう。基本的な関係性は、当初からあまり変わっていません。

目標はフェスを開催すること!

「面白い」と感じることをしたい

-会社としての今後の展望をお聞かせください。
元々創業から「200店舗作りたい」とか店舗数の目標はありません。気づいたらそうなっているかもしれませんが、それぞれのお店のコンセプトを大切にして突き詰めるような面白いお店を1個1個丁寧に作っていきたいと思っています。店を出すならありきたりなお店を作っても面白くないじゃないですか。もちろんお金はしっかり稼がないといけないですからそこはきっちりと守りつつ、自分たちがワクワクするようなことを考えていきたいと思います。そしてそのお店をやる気ある従業員に譲渡していきたいです。

あとは、最終的にはフェスを開催したいと思っています。当社はイベントごとにも積極的に出るようにしているのですよ。2017年と2018年には希望者を募ってSUMMER SONICに参加しました。もちろんお店も営業しないといけませんから全員は行けませんが、そういうイベントに参加すればスタッフのモチベーションも上がるでしょう。これからも、面白く生きていきたいですね。

-内装事業もやられていますよね。
佐藤を中心に、知り合いのお店の内装業を行っています。
また当社の内装のほとんどを自分たちで作っているのですよ。例えば照明やテーブルは全部手作りですし、床を張ったり壁を塗ったりもしています。

佐藤の実家が青森なのですが、実家まで2トントラックで行き裏庭の木を調達してテーブルを作ったり、最近では解体も自分たちでしたりしています。路地ノ裏 灯篭は、もともとすごくボロボロだったので「自分たちで出来るのでは?」と思いハンマーを持って解体したのですよ。産廃もトラックを借りて行いましたから、それだけで50万円は費用が浮きましたね。

3店舗目から徐々に自らやり始めて、店舗が増えることにその幅やレベルが上がってきたような感じです。自分たちで材料から揃えたり調達したりするのはなかなか面白いですよ。

今までに培ったノウハウを活かして普通の業者が思いつかないようなデザインや手作りのものを提供できる内装業者になれると思うので、これから少しずつ仕事として事業を拡大していきたいです。

ー本日はありがとうございました。

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