特集記事【有限会社トーホーエージェンンシー 山崎一彦】人を育て、顧客体験を進化させるリーダー

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プロフィール

有限会社トーホーエージェンンシー 代表取締役 山崎 一彦

1970年生まれ 東京都出身

料理人を志し高校を卒業してすぐに板前の修行を始める。3年後、親戚の叔父の経営している居酒屋で板前として務める。そして35歳で色々な人からの支えもあり独立。現在はトロトロになるまで煮込んだ「参鶏湯(サムゲタン)」を看板メニューとする居酒屋『鳥一代』を経営。また、遠方のお客様のために「参鶏湯」を販売するECサイトも運営。

■企業HP 兼 ECサイト

http://samugetan.com

板前からの独立。利益の源はランチ営業

ー独立に至るまでのお話を聞かせてください。

私はずっと板前をしていました。なので、過去から現在まで働いた経験は全て飲食店です。
高校を卒業してすぐ親から手に職をつけろと言われたため、調理の勉強をし、最初に述べたように板前を始めました。そしてその後は親戚の営む居酒屋で働き始め、22歳の時に店長になりました。最終的には4~5店舗を統括していました。そして16年間勤めた後、35歳の時に退職し現在の『鳥一代』で独立しました。親戚のお店で勤めていた時は、ランチで来ているお客様を夜の営業時間に繋げる。というやり方で集客するのが得意だったので、鳥一代でも開店してすぐの時はこの方法を活用し、まず最初はランチの集客を集中的に行いました。そしてそのお客様を夜の営業時間に繋げていましたね。

ーランチは儲からないからやらないと言う話を聞いたことがあるのですが、鳥一代ではどうですか?

その通りです。ランチだとご飯は大盛り・おかわり無料ですし、メニューの単価は安いので儲けは出ないのです。しかし、確実なことは「必ずお客様がきてお金が動くということです。なので、そこから夜の営業にも繋げることで相互的に利益をあげています。

選ばれるお店はマニュアルではない

ーランチを利益に繋げられるコツは何ですか?

ランチをやったとして、夜のメニューの値段も看板に記述することや、お店の雰囲気づくりをすることだと考えています。

夜のメニューの記述があれば価格帯がわかるので夜も来やすいですよね。それに雰囲気がわかれば尚のこといいとおもうんです。

これくらいは他の店舗でも実施していると思うのですが、例えば挨拶であれば、「いらっしゃいませ」の後に必ず「こんにちは」をつけるだとか、もし雨が降っていれば、「雨の中ありがとうございます!」などお客様にかける言葉に+αをしてあげることです。

更に具体的なことをいうと、鳥一代は11:30にオープンなんですが、いつもオープン前の時点で10人ほど並ぶんですよ。それを見越して、開店前に空調を効かせておく。暑い中来てくれたお客様を開店前ではあるが、少しでも涼しい室内で待っていてもらう。寒い時はまた然り。また、お客様が待っている間のお飲物をサービスしたりなど、そういった普段の接客+αで他の飲食店との差別化を図っています。

このようなサービスを受けると『良い店だな』という印象を持ちますよね?このような些細な従業員の所為がお客様を引きつけることに繋がるのだ。と私は考えています。そして、他の飲食店がやっている、必ず「時間通り」や「マニュアル通り」はあまりよくない。それだと、せっかくきてくださったお客様に無機質で冷たい印象与えてしまいます。良い意味で『マニュアルを崩すことがマニュアル』だと思っています。指導の際には、『良い方向に、お客様が望んでいる方向に、やられて嬉しいことをやりなさい』と常に伝えております。

ー顧客満足のために1人1人が考えて接客しているということですね。

はい、そうですね。更に顧客満足のために意識していることもあります。

メインメニューの参鶏湯がお客様の元に運ばれるまでのストーリーを作り上げて顧客満足度を上げると言うことです。ウチに来てくださるお客様の目的はほとんどが参鶏湯を召し上がることだと考えられるので、『どうやったら一番美味しく参鶏湯を召し上がっていただけるか』を考えながら、料理のメニューやコース、あとお客様に提供する時間も考えながら営業しています。

 

店舗展開=人の成長 盤石な基盤を作る経営手法

ー業態は居酒屋ですよね。現在の店舗数と経営方針を教えてください。

はい、居酒屋です。現在、鳥一代というサムゲタンをメインにした居酒屋を5店舗経営しております。しかし、先ほども述べたように居酒屋ですがランチがとても盛況です。何故、居酒屋なのにランチも売りにできるのかというと、その答えは割と簡単で、ビジネス街にしか店舗を置いていないということです。
加えて、私達が目指している形は『土日祝が休みの居酒屋』です。何故目指すのかというと、それは社員のためです。例えば、店舗内に出勤できる人が少なく、あまり従業員がいない時にギスギス営業しているとします。その状況で忙しくなった時にお客様に良い笑顔ってできないですよね?
まだ実現できておらず日曜と祝日しか休みにできていませんが、”顧客満足向上”のために、社員の方がちゃんと休む事ができる。そして全員が健全に働ける会社を目指しています。

ー従業員の事を考えた店舗経営なんですね。

はい。やはり全て「人」がいて成り立っていますので従業員はすごく大切ですからね。

他にもウチでは『人を成長させるための店舗展開』を行なっています。
今も従業員で有望な人がいるので、その人に店を任せて6店舗目を作ろうと考えています。すぐにでも展開したいですね。(2019年12月 新店オープン予定)
よく、業績拡大のための店舗展開と考えられている経営者の方が多いと思っているのですが、ウチのやり方は完全に人を成長させるための店舗展開です。簡単にいうと、もっと成長させてあげたい方がいるからその方に新しい店舗を任せる。反対に、まだ十分な成長レベルに達していないという方なら、新たな店舗も作らない。ということです。私は、業績の拡大よりも従業員の人間としての成長を重視しております。

ー現在の従業員数は何人ですか?

従業員数はアルバイトの方達を含めて60人ほどです。ウチの社内では、従業員の方達の年齢層の幅がとても広いんです。一番高くて79歳のおばあさんですね。70代の方達は全員で5人程いますが、皆さん絶対に遅刻はしないなど、どなたも責任感が強くて些細な問題にも素早く気付づけるんですよ。

ちょっとしたエピソードなんかでは、台風で電車がとまっている時に、遅刻しないようタクシーで出社された人もいましたね。逆に私が「そんな無理しないでいいのに」と言ってしまう事が多いです。見ていて感動させられるくらい仕事に真面目に取り組んでくれるので、お店の戦力として大変重宝させていただいています。

ー徹底したサービスを心がけると、顧客体験は向上する反面、指導の厳しさは離職率の高さにも繋がる可能性があると思うのですが、そこに心がけていることは?

ウチの従業員達をしっかり見て上げる・ケアしてあげるということですね。もし何か問題があればその場で直接解決するようにしています。加えてもう一つ意識していることは、給料明細の裏にお手紙を手書きで必ず毎月書いています。例えば、『この間手際がよかったね!』とか『これから忙しくなるけど、一緒に頑張ろうね!』など相手を褒めるようなことを従業員60人全員分書いています。
普段ランチの時間はとても忙しいので行けませんが、夜の営業中には私が本店を離れ各店舗を見に行くようにしています。

これが私の心がけている”しっかり見て上げる”ということです。でないと、従業員に関する細かいことにも気づけませんし、手紙も書いてあげることができませんよね。

 

隠れた努力が顧客満足度に繋がる

トーホーエージェンシー代表山崎氏

ー通販事業もありますよね。力を入れているんですか?

もともとはサイドメニューだった参鶏湯が今では1番の看板メニューになり、知名度がとても上がりました。しかしその反面、どれほど知名度が高くても、脚を運ばなければ食べられないという事実があることが大変心残りでした。そんな時に、『遠方に住んでいるおばあちゃんにも食べさせたい。』というお客様のお声を頂いたのをきっかけに、少しでも多くの人にウチの参鶏湯を食べて感動してほしいという想いから通販事業を開始しました。周囲の方達からは、会社全体でやっている事業だと思われがちなのですが、こちらは、仕込みから受付、梱包、配送まで全て私が一人で行っています。(汗)
実のところ、通販事業自体はあまり利益目的にやっていません。結構苦しい中でやっているんですよね。ですが、最近ではリピーターとして買ってくれる方も沢山いますし、もともとの鳥一代のお客様が買ってくれてその口コミが広がっていったのだと思うと続けている甲斐があったと思えます。たまに繁忙期には徹夜になってしまうこともありますが、それでもたくさんの方に食べて頂けたら嬉しいです。

なのでこれからも頑張って続けていきます。(笑)

10店舗以上で見える景色を求めて

ーこれからの鳥一代の展開はどのようにお考えですか?

自分では、10店舗までは今と同じ様に、しっかりと従業員をケアしながら経営していけると考えています。そして、今は5店舗なので10店舗までいけば今とは違う景色が見れると思いますし、逆に言ってしまうと、その景色を楽しみにしています。もちろんそれは『人ありき』の店舗展開ですけどね。あまり展開を急がず、人も育てながら、またその先に見えるものがあれば積極的にやっていきたいです!

ー本日はありがとうございました。

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