特集記事【株式会社NATOMICS 関 斉寛】職人で終わらない 全てができる飲食人を世界へ

NATOМICS-NarihiroSeki.ping

プロフィール

株式会社NATOМICS 代表取締役 関 斉寛

1984年生まれ 神奈川県出身

調理師学校を卒業後、南青山の和食ダイニング、新横浜プリンスホテルの日本料理店で修業を積む。

2012年7月26日 1店舗目 等々力『うおいちばん』オープン

2014年2月10日 2店舗目 自由が丘『魚斉(うおなり)』オープン

2015年4月7日   3店舗目 二子玉川『せき亭』オープン

2016年10月9日 4店舗目 上野毛『魚光(うおこう)』オープン

2017年10月5日 5店舗目 自由が丘『和食や ちそう』オープン

2018年8月8日   6店舗目 自由が丘『鮨 りんか』オープン

現在は、YouTube、公演、セミナー、飲食店舗コンサルティング、海外にて日本の文化である和食を伝えたり、幅広く活動している。

■企業HP

http://www.natomics2010.com

 

調理師学校1年目から決めていた独立。きっかけはお客さんからのチップ。

 ―飲食業に進もうと思ったきっかけを教えて下さい。

高校生の頃に中華屋さんでアルバイトをしていました。そこでは、最初はホールから始めて、そこから料理を作らせていただけるようになりました。そしてある日、僕が作ったチャーハンに対して、お客様から「今日のチャーハンすごく良かったよ」って言ってもらえて、お会計のおつりをチップとして頂きました。「美味しかったからこれは君にチップだ」と言われて、この時はじめて「お客様から感謝の言葉をいただききながら、お金までいただけるなんて凄い仕事だ」と思ったんです。

今では「一皿一杯に懸ける想い」と仲間に伝えていますが、この当時のお客様の言葉や自分の気持ちが今の僕の糧になっているんですよね。

それから 調理の道に進もうと決めて調理師の専門学校に行くようになりました。調理師学校に入って1年目ぐらいから周りの友達に20代のうちには独立するんだと宣言していました。その時には独立の考えがありました。

 

調理師学校を卒業後、下積み時代へ

調理師学校を卒業して、20代のうちには独立すると決めていたのですが、やはり、調理師としての基礎と基本は勉強しておかなければいけないと考えました。そこで、青山にあった和食のお店で働き始めました。その後に、先輩から新横浜のプリンスホテル内の和食のお店を紹介していただきました。青山のお店が1万から1万5,000円くらいの予算感のお店だったのですが、もっと高いお店で勉強した方がいいと言われて、プリンスホテルに移動することになりました。

朝一番に調理場に入って、一番最後に帰るということを1年間ぐらいやっていたら、親方や先輩から信頼を受けるようになってきました。もちろん最初に入った時は、一番若い子が配属される追いまわしと言う新人の見習いが入る部署に所属していたのですが、1年半後ぐらいには板場の2番手まで上り詰めました。

それからホテルでの修行を終えたので、次は独立するために料理長や店長の職務も経験しなくてはいけないと思いました。そこで、和ダイニングに転職をして、料理長をやらさせてもらいました。他の方から受け継いで料理長になったのですが、その会社で店舗展開をすることになり、次は新店舗の店長になって、最終的にはその会社の部長職まで上り詰めました。

その後2012年の28歳で独立しました。

 

独立直後にピンチ。客単価を倍にし成功した1店舗目。

 ―1店舗目を始めた時のエピソードを教えて下さい。

2012年7月の僕が28歳の時に第1店舗目となる『うおいちばん』を立ち上げました。東京都世田谷区等々力に出したんですけど、お店がそこまで多くない街なんですよね。だから、自分の家の近くに新しいお店ができたら、1回は行ってみようかって思う人が多いので、最初の3ヶ月はものすごく忙しかったです。こういった立地での新店なら皆さん3ヶ月くらいは上手くいくとおもうんですよね。しかし、最初は僕と社員1人と、アルバイトの2人の4人で、2階を含めて全部で40席ぐらいのお店を回していました。舐めていたつもりはなかったんですが、舐めていました。僕と社員は動けるんですが、アルバイトにはあまり教育も出来ずに、とりあえずオープン日に合わせて始めてしまったんですね。もう結果はわかりますよね。料理も全然出てこないし、最初のドリンクが出てきたのが30分とかという状態になってしまいました。そんな状態が続くと、お客様が離れてしまうので、売上もガクッと目に見えて下がってしまいました。これじゃいけない。やばい。と思いました。

当初は客単価がそんなに高くなく、たばこも吸える店にしてたんですが、これだと使える食材とかいろいろな物が限られてしまうので、これまで僕が勉強してきたことが活かせないと思いました。そこで、一気に顧客単価を倍にして、禁煙にしたんですよ。忙しくないので料理に手を掛けることもできたので、とにかく良いものを提供するかたちに変えました。そうしたら、今まで来てた方はいらっしゃらなくなったんですけど、逆に今まで来てなかった方が来られるようになりました。顧客単価を倍にして、手の込んだ内容の料理やドリンク、接客サービスに変えたので、質を求める飲食偏差値が高い方にウケて、その方々の口コミですごく広がって、一気に8ヶ月ぐらいで投資回収を終わらせるぐらいまで売上が増えました。

1店舗目の投資回収が終わったので、次は2014年2月の僕が29歳の時に覚悟を決めて2店舗目の『魚斉(うおなり)』を出しました。しかし、社員と2人のままなので、1回1店舗目の『うおいちばん』を閉めたんですよ。空家賃を払いながら、店舗は残してお客様には「再オープンはさせますけど、自由が丘に移動してお店を出すので、その間は申し訳ないですけど1回閉めさせてもらいます」と伝えました。求人をかけて、見つけた従業員の仲間が集まってきて、社員5人ぐらいでお店をオープンさせました。2店舗目の『魚斉(うおなり)』がすごくハマって、電話も鳴りやまない状態でした。そこから、半年ぐらいは2店舗目を営業しながら、1店舗目は空家賃を払っている状態でした。半年後に、1店舗目を再オープンさせました。

そこから、2015年4月に3店舗目の『せき亭』、2016年10月に4店舗目の『魚光(うおこう)』、2017年10月に5店舗の『和食や ちそう』、2018年8月に6店舗目の『鮨 りんか』をオープンさせ、現在では6店舗を経営しています。

 

良いものを手に届く価格帯で

NATOМICSinc.NarihiroSeki.inc

 

―今現在されている顧客満足や顧客体験に関して意識されている事や実施されていることを教えて下さい。

飲食店を経営する上で、利益を確保するために『FLRコスト比率』で管理します。

FLRコスト比率とは、以下のように分けられます。

・F→Food(Food)…食材コスト、食材ロス

・L→Labor(レイバー)…人件費

・R→Rent(レント)…家賃

一般的には、FLRコストはだいたい55~60%の間に納めるといいとされています。

僕が一番、意識しているところは、FLRコストの中で家賃比率を下げて、その分フードコストをあげるようにしています。家賃比率って目安的に10~15%がいいとされているんですけど、だいたいみんな15~20%の間だったりするんですよね。でも、僕の会社は全店舗5~10%の間で、家賃比率のパーセンテージを低くしています。家賃比率がめちゃくちゃ低いと、FLRコストで見た時に他を少しあげても利益がとれる計算になります。そのため、うちではフードコストをあげて、お客様に良いものを提供しています。

あと、家では作れない料理をメニューに入れるということも意識しています。家では作れない味や、仕入れない食材がありますよね。それらを手が届きやすい価格帯でメニューにしています。

あとは、従業員の言葉遣いとか電話対応にすごくうるさいんですよ。いいお店って電話対応ひとつとっても、すごくしっかりとしてますよね。それってすごく気持ちがいいし、顔が見えないサービスだからこそ、そこにどこまで気持ちを込められるかで変わると思っています。キレイな話し方をすることも顧客満足を産むための一つだと考えています。

 

美味しい料理を作るだけの職人ではだめ。目指すは飲食人(いんしょくにん)。

―顧客満足にも関わる従業員さんとはどのように関わっているんですか?

まず、うちの職人に伝えていることは、ただ美味しい料理を作るだけの職人ではなく、お客様に満足してもらうためのサービスもできる「飲食人(いんしょくにん)」になりなさいと言っています。料理が出来ることはもちろん大切ですが、経営も接客も飲食店を営んでいく上では全て大切ですよね。なので職人ではだめなんです。全てに気が回るような「飲食人」を目指して欲しいんですよね。

あと、従業員とは一緒に冒険していく仲間として、僕めちゃくちゃ飲みニケーションするんですよ。会社全体ももちろんありますけど、個々の従業員との飲みニケーションの方が多いです。休みの日の日中から休みのスタッフを探して、連絡して4、5人でご飯に行きます。そこで、悩みを聞いたり、大変な話を聞いたりしてコミュニケーションを取っています。会社の社長とかトップとのコミュニケーションがないとその会社って荒んでくるんですよね。社内のコミュニケーションが取れないと、社長が考えていることがみんなに伝わらないし、結局一致団結出来なくなるということで、行くようにしています。そこでは、僕は社長だから偉そうにする気はまったくないんですよ。正直な話をすると、一緒に食事に行っても僕に気を使わないでいいからねって従業員には言ってます。従業員に気を使われたり、取り分けたりしてもらったら、その後楽しめなくなるんですよね。僕は本心でただ仲間と飲んでいるだけだと思っています。

あと、社員旅行もあります。1泊2日ぐらいでバスを貸し切っていったりしてます。

 

チャーハンを作る動画が260万再生 YouTuber誕生の裏側

関斉寛氏のYouTuberとしての一面

■関斉寛チャンネル

2017年10月18日に開設

現在のチャンネル登録数:3.54万人【2019年9月27日現在】

料理チャンネルで、和食の基礎基本から5分でできる簡単レシピなどの動画を投稿

参考URL: https://youtu.be/0wALAlNua3I

―YouTubeのチャーハンの動画が260万回を超える再生数ですが、どのようなきっかけで始めたんですか?

YouTubeを始めるきっかけは、飲食って業界で、料理人と言う枠が狭すぎると思っているんですよね。料理を作るだけでなく、いかにお客様に届けられるかも大事になってきます。だから、もっとみんなもそういう気持ちを持たないとダメだし、今後はそうすることによって成功する確率が増えると思います。飲食という業界をもっと若い子もやりたくなる人が増えたらいいなって思っているので、僕も成功しないといけないなと思っています。僕は、和食の基礎と基本をちゃんとやってきてますので、ちゃんと料理も出来るし、今でもやっています。それ以外にも会社経営もやりますし、営業もします。それで、ちゃんと成功していますよという姿をもっと若い方たちに伝えていきたい想いで、自分のYouTubeチャンネルで広がればいいなと思っています。飲食人が増えたら嬉しいですね。

しかし、最初はYouTubeって全然結果が出ないから、辞めようと思っていました。そこで、期間を決めて、ここまでに結果が出なかったらもう辞めようて言ってたんですよ。そしたら、チャーハンの動画がどんどん再生数が伸びて、1万回とか2万回あたりから一気に伸びた感じになりました。そこから、もう一度YouTubeを頑張ってみようとなりました。

それに、僕は自分の「食」という事業に対して夢があるんですよね。まだまだやり始めて7年ぐらいですけど、これからもっともっと新しい形で夢を実現させていきたいと思っています。僕がもっともっと輝いていって、若い子たちやいろんな人にも伝えていきたいという想いはすごくありますね。一つの使命感だと思っています。

 

挑戦から冒険へ、これからも続く「食の冒険」

NATOМICSINC.NarihiroSeki.pig

―最後に今後の展開として夢や目標を教えて下さい。

最終的には、社内独立なんかを考えているんですが、来年にまた少し店舗数を増やしたいと思っています。店舗数を増やすことで、役職も増えるのでポジションが出来上がります。もちろん会社としての年収も上がりますよと。

あと、将来的にみんなが独立するのではなく、店舗数を作ってどんどん切り離していきたいですね。独立したいと考えている従業員を、グループ会社の社長になってみたいな感じですね。僕の会社経営から外して、自分の会社を作って紐付けてやれたらなんて考えています。

あと実は、新しく会社を登記したんですよ。名前は、『N.food adventure』と言います。名前の由来は、Nが僕の『なりひろ』という名前であったりとか、今の会社が『NATOMICS』であったりとか。あとは『仲間』や『日本』とかいう意味で、Nというロゴに対して、僕のこだわりがあります。で、フードは食、アドベンチャーは冒険ですよね。食の冒険という意味を込めました。NATOMICSの会社のスローガンが「過去に感謝 未来に挑戦」でやってきているのですが、今度は挑戦を冒険に変えていこうという想いがあります。

N.food adventureでは、飲食店などの店舗を持たずに、伝える会社にしていきたいと思っているのですが、最終的には、和食の文化を海外に伝えるなんて仕事をどんどんやっていきたいと思っています。海外の調理師学校とかに僕が行って、しっかりと和食とか魚のさばき方とか、接客サービスまで教えたいと思っています。

そしたら、例えば海外の調理師学校の方々が日本の関さんのお店に修行に行きたいていうのも面白いし、それを持って帰ってしっかりとした本物の和食を海外にストアでどんどん広げていってもらいたいですね。

今現状、海外には偽物の和食店がいっぱいあります。お金儲けのためにやるんではなく、いい形で流行って欲しいと思います。

 

―本日はありがとうございました。

 

■関斉寛チャンネルで今回の取材模様も配信中

 

Food Media(フードメディア)がお届けする飲食業界の最新ニュースや業界動向をお届けするWEBメディア

特集記事カテゴリの最新記事