特集記事【 株式会社ブロスダイニング 鈴木 一生 】料理人だから出来る環境作り。挑戦できる企業へ。

株式会社ブロスダイニング FoodMedia 代表取締役 鈴木一生6

プロフィール

代表取締役社長 鈴木 一生 (すずき かずお)

1972年生まれ

調理師専門学校を卒業後、株式会社なだ万へ入社、25歳で香港シャングリラホテルなだ万に勤務。帰国後、株式会社孝明の中村孝明有明店の立ち上げで副料理長として活躍。最終的に同社取締役総料理長に就任。その後、株式会社ノバレーゼにスカウトされ営業本部広島地区三瀧荘料理長を経て取締役に就任。
現在は株式会社ブロスダイニングで代表取締役社長へ就任し、今現在でも現場に入りながら活躍し続けている。

■企業HP
https://brothdining.co.jp

目指すべき会社の在り方

ブロスダイニングの役割と方向性

-ブロスダイニングは大手ブライダル企業であるノバレーゼの子会社ですが、設立の経緯をおしえてください。

2018年11月にノバレーゼより飲食店4店舗を引き継ぐ形で分社し、株式会社ノバレーゼレストランを創業、その後2019年1月に商号を株式会社ブロスダイニングに変更しました。今年新たに2店舗を新規オープンしました。

 

-ブロスダイニングの役割はどういったものなのでしょうか?

ノバレーゼはブライダル事業の会社です。その特性上ブランディングを崩さないために業態の幅が広げにくいということがあります。例えば居酒屋みたいな業態がやりにくいといった感じなのですが、ブロスダイニングではノバレーゼでは出来ない業態を広げていくことが目的の1つだと思っています。

次に、新しい挑戦ができる環境をスタッフに提供することです。

ノバレーゼのブライダル事業では、お客様に提供するメニューがある程度統一されているため、新商品を開発して挑戦したいと思っている料理人の方が居ても都度対応することができません。すると、自分がやりたいことに挑戦できない。自分の力を試してみたい。という理由で、退職を選択される方が出てきていたんです。

ブロスダインイングでは新しい事に挑戦できる環境を提供する事で、そういった方の希望にも応える事ができます。

将来的には個々のライフスタイルに合わせて職場環境を選択できるようにしたいと思っています。例えば、結婚して子供ができれば、家族との時間が作りたくなることもあるでしょう。こういった方は安定した環境としてノバレーゼで働いていただければいいと思いますし、新しいことに挑戦したい方はブロスダイニングで実際に挑戦しながら働いたらいいと思うんです。

会社を分けたからといって完全に隔てたわけではないので、柔軟に異動できる環境があってもいいと思っています。

 

大企業ではない。創業したてのベンチャー企業。

-いきなり子会社で複数店舗の代表者になることに恐怖や、プレッシャーはなかったのでしょうか?

いきなり複数店を任された訳ではないんですよ。私は元々ノバレーゼでレストラン部門の統括総料理長を任せてもらっていたので、ブライダル事業含めて30店舗以上を見ていたこともあり全く新しいことをするという訳ではなかったんです。なので1店舗から四苦八苦して創業しましたみたいなヒストリーはありませんが、逆に初めからスタッフが40人程いるので統率をとるのが難しいという反面もありますね。

これには理由があって、実はブロスダイニグのスタッフは全員ノバレーゼに所属しているスタッフが1年間の期限付の出向でブロスダイニグに勤務しています。

1店舗目から自分でたちあげた社長であればスタッフと一緒に成長してきていますし、初めの少人数であれば統率もとりやすい事もあるかと思うんですが、安定した企業からいきなりこの規模の会社に異動になっている40人の事を考えながら指揮をとるのは色々難しい事もあります。

 

ノバレーゼとは違う、ブロスダイニングの戦い方を模索

-1年間の出向とは?

この規模の会社ではノバレーゼと同じレベルの福利厚生を与える事が財務的に出来ません。潰れてしまいますからね。スタッフ自身にも、自分はどのような働き方をしたいのかを考える時間を与えるため出向という形をとっているんです。更に言うと、ノバレーゼが新卒採用の説明会を開くと100人集まりますが、うちが開いても全くこないんです。

このような理由から出向というかたちをとっています。しかし、年内で期限の1年が終了しますのでこれから社員1人1人と面談して、ノバレーゼに戻るのか、又は正式にうちの社員として一緒に頑張ってもらえるのかを選択してもらいます。社員には自分に合った選択をしてもらえればいいと思っています。

最悪は僕が料理を作ればいいですしね!笑

 

-今のスタッフさんが残っていただけたら安心できますね。

いえ、スタッフが40人いても安心はできません。ノバレーゼの様な大手のやり方のままでは絶対失敗すると思っています。というのもブロスダイニングはこれから大きくしていかなければいけない企業だからです。子会社といってもスタートしたばかりのベンチャー企業としての考えをもって経営していく必要があるとおもっています。

残ってもらうスタッフにもその様な気持ちを持ってもらいたいですし、そのためには私が前にたって働く事がとても大切だと思い現場にも出るようにしています。

 

-鈴木社長が現場に出られているんですか?

はい。出てますよ!皆んなと一緒に働きながら冗談ばかり言ってます!笑
最近では新卒の子たちも気軽に話しかけてくれる様になっています。

 

現場での経験が今に繋がる。料理人への道のり。

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なだ万への入社が料理人の本当のはじまり

-今でも現場に出られているということですが、元々料理の腕で有名な鈴木社長についてお話を聞かせてください。料理はいつから学び始めたのでしょうか?

料理の専門学校ですね。とはいっても後ろの席でジャンプを読んでいるようなやつでしたよ。中には前の方で真面目にノート取っている子もいますよね?そんな感じではなくて、全然真面目に料理の勉強をしていなかったんです。
なので専門学校で学んだ料理の知識はほとんどありません。笑

僕がこんなこと言ってはいけないですけど、専門学校での唯一の収穫は前職のなだ万に就職ができたことです。笑

 

-なだ万と言えば高級和食料理で有名ですね。実は既に料理の才能があったから就職できたのでは?

いえいえ、料理はできませんよ。
当時はバブルだったので、なだ万は店舗展開に物凄く力を入れていて新卒を100人採用したりと勢いがある時でした。なので面接したら入れました。笑
実技もありませんでした。

 

-現在の経歴からは想像もできませんが、その時は料理に目覚めていた訳ではなかったんですね。

そうですね。職場ではよく怒られていました。
例えばこんなこともありました。
お吸物を用意してお客様に出さないといけないときに分量を間違えてしまい、最後のお客様の分がお玉の下に少し程度の量になってしまい、ヤバいなと思ったのですが、
怒られるのが嫌だったのでそのまま提供してしまった事があるんです。
そうしたらそのお客様が副料理長のご家族で結局叱られました。笑

でも、ここでの経験が今では糧になっていて、高圧的に怒られると誰でもミスを隠そうとしてしまうものだと思うんですね。なのでうちでは高圧的には怒らないようにと伝えています。

中村孝明有明店の立ち上げ

なだ万では、25歳から香港のシャングリラホテルで修行を積ませてもらい、帰国しました。
帰国後は、当時TVで流行っていた料理の鉄人で有名になった中村さんの独立についていき、中村孝明有明店の立ち上げで副料理長をしました。

その後、「横浜高島屋店」に異動しました。当時の高島屋ではフードコートしか無かったのですが、初めての個別店舗出店が決まり、その店の料理長に就任しました。
店は大繁盛でランチでは200人以上来店して、夜も満席。とても忙しかったこともあり苦労が絶えませんでした。高圧的に怒られたらミスを隠すってお話をしましたが、この時忙しさのあまり感情的になることが多く3ヶ月で11人も辞めさせてしまったこともありました。

最終的には従業員が僕を含め3人になってしまい、もちろん私も休みなしで働いていますので、何でおれだけこんなに忙しいんだ。と思うこともありました。

-3人でお店を回すことはできたのですか?

到底できません。社長の人脈でなんとか従業員を集めて営業することができましたが、人脈がなかったら確実に倒産していましたね。この時に初めて真剣に教育のことや人について考えました。
そういった現場の経験があるからこそ今に繋がっています。

料理人の目線

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-ノバレーゼ にはどのような経緯で入社されたのですか?

実はノバレーゼ からのオファーがきっかけで社長とお会いしたのがはじまりです。ノバレーゼに入社してからは統括総料理長を任せて頂き、今に至ります。

 

-職人である料理人が、鈴木社長の様に社長に抜擢されることは珍しいと思うのですが、いかがでしょうか?

そうですね。多い事ではないと思います。
ですが、料理人である私だからこそ出来る事があると思っています。どうしても料理人は職人気質なところがあって、お客様目線に立てなかったり、ホールスタッフと衝突してしまったりすることがあります。
そんな時、料理人を経験し社長の立場である私から双方にアドバイスできる事は多いと思います。

 

本物のノウハウを伝承するための考え方 

-指導していくに当たってどのよう事を気をつけていますか?

指導する側が、どれだけ多くのインターネットに載っていないノウハウを伝承できるか。がとても大切だと考えています。

少し昔の話になりますが、インターネットがまだない時代では、情報がないので親方からの直接の指導がとても貴重で親方から多くのことを学んでいましたが、今ではインターネットでなんでも調べれる時代で、例えば魚の切り方にしてもYouTubeとかで調べたら動画解説付きでしっかりと教えてくれるじゃないですか。

仮に、僕たちがスタッフに「魚の切り方はこうやったらうまく切れるんだよ」と教えたところで「ネットで調べたら分かりますよ」となってしまうんですね。

なのでこれからの指導として、ネットに書いてある事ではなく、ネットには書いていないこれまで培ってきたノウハウをいかに伝承していけるかが重要です。

 

挑戦できる環境作り。未来の笑顔に向けて。

-最後に今後の展望ついて教えてください。

今年は2店舗の新規オープンをすることが出来ました。

この調子で毎年2店舗ずつ出店しスタッフの活躍できる場をどんどん増やしていき、優秀な料理人がたくさん育ってもらえたら料理人の僕としてとてもうれしく思います。

ブロスダイニングとしては新しい挑戦をしたい人を応援します。その為に、スタッフの活躍できる環境づくりに力を入れていきます。

今は設立間もない事もあり、皆んな大変な時期ですが、だからこそ、今の頑張りが大きくリターンとして返ってきやすいのも小さい企業の強みです。

ノバレーゼの子会社だからこそできることとして、ライフスタイルに合わせた職場環境の提供を実現させるためにも、ブロスダイニングは新参企業とし発展し、しっかりと土台を固めていきたいと思います。

3年後、5年後に仲間たちと笑いながらあの頃は大変だったなと自分たちのお店でお酒を交わしたいですね。

 

-本日はありがとうございました。

 

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