特集記事【株式会社ジャパンフードシステムズ 松永 藤吾】実家の洋食店から始まった独立への道と顧客満足の考え方

ジャパンフードシステムズ

プロフィール

1973年生まれ 東京都出身

代表取締役社長 松永 藤吾(まつなが とうご)

両親がとんかつ屋兼洋食屋を経営しており、生まれながらに「食」の分野に携わる。英語の専門学校を卒業後、イタリアンレストランに就職する。その後、「銀座クルーズ」に転職し、総料理長や支配人、購買業務などを経験し、39歳のときに「ジャパンフードシステムズ」へ入社。

現在は自らの経験を生かしながら、代表取締役社長として活躍している。

■企業HP

http://www.tapas-tapas.com/index.html

料理の始まりは実家の洋食店から

負けず嫌いな幼少期

−学生時代のことについて教えてください

どちらかと言うとリーダー、悪く言うとヤンチャなタイプでしたね。
小学校のときは野球とサッカー、中学校はサッカー部でキャプテンを努めていました。
強いチームではなかったですが、学校は休んでも部活は休まないというくらい熱中していたと思います。
球技全般得意でしたが、唯一バレーボールだけはできなかったので、やってみようと思い、高校ではバレーボール部に入部しました。
身長が175cmしかなかったので、毎日スクワット300回トレーニングして、結果的に高校2年生の頃にはキャプテンとエースを努めることができましたね。
興味があるものについては負けず嫌いだから、これだけは負けたくないというのをよく決めていました。
高校卒業後はどこかに就職してもよかったのですが、大学に行ける知能はなかったので、とりあえず比較的得意だった英語の専門学校へ進学しました。

−料理とはもともと特別な関係がありましたか?

私の実家が洋食屋を営んでいます。
今は母親がとんかつ屋兼レストランで店を構えていて、私が生まれた時に父親が開業しました。
場所は緑ヶ丘で、店名は「とんかつ松屋」です。
実家を少し手伝いながら、高校3年間はパスタ屋さんでアルバイトをしていました。
家には誰もいなかったので、食事もいつもお店のメニューから注文していましたね。
家で食べるご飯というよりは、お客さんにお金を払ってもらっているご飯を食べていたから、子供の頃から味の基準は高めに設定されていたと思います。
しっかり作り込まれていた料理を毎日食べていたので、料理人としては今思うとありがたいなと思います。

厨房のコスト改革

食との繋がり

−料理人としての下積み時代
父親の知人の紹介で、19歳のとき明治製菓の外食事業部で構えていた神谷町のレストランに入社しました。そこで5~6年働き、フレンチの基礎を学びました。

そのあとは、「クルーズクルーズ」のシェフに仕えていた私のサッカー仲間からのお誘いで、クルーズクルーズへ転職。
最初の配属は「洋食店」、2店舗目は「イタリアンフレンチ店」、そして本部に配属になり「購買」という発注業務や価格交渉の業務をこなしました。

そのあとは原宿にできたクルーズ系列で初のイタリアンの店舗へ配属され、当時のシェフが辞めてしまったこともあり、急遽料理長を任せて頂くことになりました。

 

−イタリアンの店舗では料理長として何年くらい勤めましたか?

その店舗は2年ほどしかいなかったですね。

このイタリアンの店舗は300~400席くらいの規模だったのですが、当時の支配人と話し合いと改善を重ねて、結果的に満足のいく利益を出すことが出来ました。

厨房内にとにかく人が多かったので、まずは厨房の人数を半分に減らしました。
人数が多すぎると指示が行き届かなかったり、人件費が掛かりすぎてしまいますので。
あと、原価を少し見直して立食パーティを始めたんです。
立食パーティーだと、100人に対して100人分の料理を出すわけではないから効率がとても良く、積極的に原宿のラフォーレ前で事業を展開しました。

すると、大口のパーティーがコンスタントに入るようになりました。
売上は上がり、コストは10%以上下がって、立食パーティなら厨房の人数もそこまで必要ないのでさらに利益が上がりました。
そのタイミングで私を可愛がってくれた総料理長が辞めて独立し、成績が認められた私は総料理長に抜擢して頂くことができました。

 

コスト改革への道

−なぜそこまで利益を増やせたのですか?

厨房のコスト改革をおこないました。
私は購買業務に少し携わっていたので、下げられるところは下げました。
一度、全従業員のシフトを集めて、人件費がいくらになるか一目でわかるようにエクセルを自分で作ったりしました。
それまで煩雑に管理がされていたこともあり結果が出しやすかったのはあります。当時の私は味とかの評価よりも、利益を出すことが楽しかったですね。
利益出れば当然給料も上がりますし、新しく出店する計画も出てきます。
結果的に、その後も出店とを3~4店舗担当し、同時に料理も作っていました。

大きなマインドの形成

新たな挑戦

−出世していく人は独立したいという強い気持ちがある人が多いと思うのですが、そんな思いはありましたか?

独立したいという思いはありませんでした。
しかし、途中から給料を高くしなきゃいけないと思い始めましたね。
原宿のイタリアンの店舗で料理長を勤めていた頃、親の経営が上手くいっていない時があり、私が借金を肩代わりしていたんです。
酷い時は、毎月の給料の半分が返済に飛んでいきました。
明日の電車賃がないというレベルの時もあり、極貧生活をしていました。
「じゃあ、給料を増やすためにはどうしたらいいんだろう」と考えるようになり、当時の支配人に相談をして、利益を増やすことを真剣に考えましたね。
そこで大きなマインドが完成しました。

しかし、利益が上がればいいやとしか考えていなかったので、まだまだ本質的な経営者の考え方ではありませんでした。

 

−新たな道へ進む

クルーズクルーズは環境も待遇もすごく良い会社で、沢山の経験もさせて頂きました。今の自分があるのもクルーズクルーズのお陰なので本当に感謝しています。
しかし、外に出て自分の力を試してみたかったこともあり、クルーズクルーズを出ていくことを決心しました。

そして、39歳の時に今のジャパンフードシステムズに入社しました。

入社のきっかけは5月の初めに登録した人材紹介会社でした。登録して3日後くらいにジャパンフードシステムズから連絡が来ましたね。

その後、面接を経て、6月1日にはジャパンフードシステムズで総料理長として働き始めました。

 

−結果が出ない時期があった

まず、周りの人を納得させるために、実力で店舗の売上を上げて欲しいと言われました。
当時、銀座2丁目店の100席くらいの店を任されて、そこに何品か自分の料理を足しましたがあまり変わりませんでしたね。

じゃあ、一回メニューも全部変えてリニューアルしましょうと提案し、看板も全て変えましたが、売上が半分になってしまったんです。
1,200万くらい売れていた店が600万くらいに減収。

さすがにまずい状況だったので、真剣にクビになることを覚悟しました。

今思えば、ずっと通ってくれていたお客様の食べたいものがメニューから消えてしまうのだから、お客様が来なくなるのは当たり前ですよね。
そこで、なぜ今まで売れていたのかを当時の幹部たちにアドバイスをもらい、前のメニューを戻しつつ、私が考案したメニューを追加したら、結果的に前よりも売上を上げることができました。

以前よりも売上が上がったので、実力を認めてもらい取締役に抜擢されました。

 

独立できる基準

「美味しい」と言ってくれるお客様の存在

−独立をチャンスに退職

その後、お店と場所を用意して頂ける営業支援に近い独立のお話をいただき、新橋の店を用意してもらって「牛タン屋さん」で独立しました。

3ヶ月くらいで経営が上手くいき、すごく忙しくなりましたね。
この間は経営者として何をやらなきゃいけないかを一番勉強ました。そして行き着いた答えの1つが「今まで出した料理じゃダメだ」とここでようやく気付いたんです。

自分のお店にもう一回来てくれるお客さんを増やさなきゃいけない、それができなければ自分の子供が明日ジュースを飲むお金すらもないと感じました。

 

−「まずい」と言ってくれるお客様の存在

近しい人はみんな私の料理を美味しいと言ってくれます。
しかし、わざわざもう一回来てくれる程の美味しさの基準なのかは微妙です。
近しい人が気を使って言ってくれる「美味しい」と、初めて会った人が気を使わずに言ってくれる「美味しい」では大きく意味が違います。
新橋でオープンした店はカウンター13坪の小ささでしたが、厳しい人ならカウンターの目の前で「まずいよ」って返してくる人もいました。
初見の人の中には、記事やfacebookを見て来てくれる人もいて、「facebookと違うじゃないか」と言ってくる人もいて、新橋って厳しいんだと痛感しました。
料理人は「まずい」って言われることの方が少ないので、真剣に「まずい」と言ってくれる人がいるのは貴重です。
なので誰もが「美味しい」と言って頂けるような味を目指して改善を重ねていたら、オープンしてから2ヶ月くらいで「あれ?あの人先週来たよね?」と言う人も増えてきましたね。
3ヶ月後には店から溢れるほどにお客さんが来てくれて、どんどん売上が増えました。

 

−再びジャパンフードシステムズへ

2店舗目を出そうか悩んでいるタイミングで、前職の「タパス&タパス」から代表への就任の依頼がきたんです。
色々と悩んだ末、新橋の牛タン屋を閉め、再びタパス&タパスに集中することになりました。

今後の展望

顧客満足の考え方と目標

−今、顧客満足という点で取り組まれていることや意識されていることは何かありますか?

やっぱり味のチェック、しっかりまずいと言ってくれる人を増やすことを意識しています。
常にその場で自由に味のチェックができる状態、その人の味の基準にはなりますが、お客様がもう一回来てくれるレベルにするために厳しいチェックができる人を増やします。

−顧客満足の点では従業員さんの教育は難しいですか?また、どのようにしていますか?

教育はとても難しいですね。
パスタの場合だと、まずレシピ通りに美味しく作れることが大切です。
料理の教育をできる人が最初は0だったのが、この3年で3~4人増えており、この従業員が店に行き、お店で食べます。
食べてみて、もしダメだったら厨房に入ってすぐ修正をする、これを何回も繰り返さないと新しく入ってきた人のレベルが落ちてしまうのです。
最近は大体全店同じレベルになってきたかな。
33年でやってきて、最近やっと大体全店同じレベルになってきた感じです。

当初は調味料を入れる量もまばらで、「果たしてその塩の量は適量なのかどうか?」と疑問に思うことが多々ありました。
シェフはどうしても感覚でやっているので、焼き加減もこれくらいで十分だろと思っているものも、「いや、焼き過ぎだよ」ということがよくありましたね。

塩に関しては100gに対して1.3%の塩しかかけない決まりがあります。
例えば200gだったら、2.6gの塩しかかけないというルールをまずは徹底しています。
焼き加減も、しっかり温度を測って58~60度に設定して全て数値化することで、多少温度の誤差があっても、最後の仕上げだけになるから問題ありません。
調味料はグラムを測ることができる器材も増やしました。

ある程度はシェフにお任せしていますが、調味料のグラム数と焼き加減についてはルールを徹底し、チェーン店の良さを取り入れつつ、人としての喜んでもらいたいという気持ちを大切にしています。
正直その気持ちがある人とない人とでは、最終的に売上が大幅に変わります。
このマインドは自分で店を出したときに「この基準じゃないと絶対失敗するぞ」っていう教え方しかしてませんね。

飲食店でたかだか500万円で独立して、借金抱えて帰ってきたら終わりです。
本当に成功できるレベルにまでいかないと、独立はおすすめできませんね。
今のレベルじゃ無理だよと教えられるのは、私自身の実体験があるからこそなんです。
この基準で常に指導していけば、増収・増益が見込めます。
マインドや調理技術の数値化など、33年間導入していなかったものを今導入しているから、9ヶ月増収・増益が続いています。

しかし、問題はその先です。

来年もまた増収・増益にしていかなきゃいけない。
それは簡単じゃないなと感じます。

−それでは今後こんな風にしていかなきゃいけないと思っていることはありますか?

まずは今後、この会社がどのように進んでいくかという力強い方向性を示さないといけないと思っています。
現在は業績は上がってきていますが、方向性がわからないまま進むと、従業員の中でざわつき始めてしまうことがあります。
そうならないために、来期はこうゆうことをしていくよという道筋を立てていかないといけません。
増収・増益は大前提としてありますが、今後は出店をしていきたいと思っています。
どんな心理なのかは解明できていませんが、やはりお店が増えていくというのは、従業員の士気が上がります。
紆余曲折あったけど、またお店が増えていくとなれば、賞与などよりも一番従業員のためになるのかなと思います。
賞与を増やしても3週間くらいで忘れてしまいますし、賞与がモチベーションに繋がっているかと言われれば全然そんなことはないですね。
いよいよ会社として、第二フェーズに入ってきたっていうのがここ3年くらいの話で、結果もしっかりついてきています。
お陰様でジャパンフードシステムズは資金調達も可能です。
なのでしっかり利益を残しつつ新しい店に展開をしていきます。
そのためには外部からの強い力で、私以外のリーダーを取り入れて、今いる従業員たちと実力を上げて次のステージに入っていくタイミングかなと思います。

 

−目標の店舗数はありますか?

まずはとにかく1店舗を着実に増やしていきたいです。
私がいつまでいるかわからないけど、30~40店舗は最終的に増やしていきたいですね。
タパス&タパスは最大38店舗あったのが、今は20店舗になっています。最後にを出店したのが、10年前の蒲田店で、しばらくそこから減る一方でした。

しかし、今では20店舗全てがほぼ黒字になっています。

今後も増収、増益、そして出店を目指して頑張っていきます。

 

-本日はありがとうございました。

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